星屑詩情

生きろ 生きろ 生きろ

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ここ半年、3月1日まではカウントダウンだった。

生きたくない、働きたくないのに『就活』という怪物はひしひしと私の背に迫っていた。周りの友人の様子を見ていて、私もその怪物に勝てるように武装をする必要があるのは気づいていた。だけど一貫して私は生き続けたくなかった。

 

パソコンの前で今日、3月1日を迎えた。大学3年生にあたる学年の半数は私と同じ状況だったんではないだろうか。就活サイトでの生配信を見ながらさながら年越しのような、何に対するドキドキか分からないような、心細い気持ちが押し寄せていた。カウントダウン。3・2・1・・・。

世界はそんなに大きく変わらなかった。拍子抜けした。 就活生になってしまった、ただそれだけだった。

 

私が就活生の鎧を被った数時間前、私のメンターは伝打伝助というもう一人の自分を自らの手であの世へ葬った。

 

彼は強い。不器用で何でも手伝ってあげたくなる行動をしながら、本人の中ではいつでも己と戦う熱い炎が燃えている。それを熱くする燃料は隣に並ぶメンバーであり、彼の愛する本や映画であり、彼自身であった。

何でも吸収し、素直にモノを受け止め、伝打伝助の存在を手に入れてからは何物にも捕らわれず自分自身を表現し続ける、それが戸塚さんだった。

 

戸塚さんは強く、戸塚さんは自由であった。私は戸塚さんのような人間になりたかった。

周囲にはとにかく優しく、自分にはストイックかつ甘く。誰もが背中を追いたくなるような人間、それが戸塚さん。

 

長い表現人生の一端しか私は目に出来ていない。だけど彼の好きと言っていたものが仕事になり、貰った仕事が好評価を貰う。常に新しいものを知り、自らの価値観を明確なものに塗り替えていく。その中で自己肯定感があまりにも低かった戸塚さんが、次第に自信を手に入れていっているのは一目瞭然だった。

 

伝打伝助という自分の殻を破るための鎧を身に着けている間に、戸塚さんは日々成長し自信を手に入れ、伝打伝助なしでも戸塚祥太を押し出せるようになった。戸塚祥太として生きていく覚悟が出来た戸塚さんは、満を持して昨日、伝打伝助を殺めた。

 

“華やかなステージの上 華やかじゃない位置についた”と自分自身を歌った戸塚さんを救いたかった。何らかの不調を感じ満足に横アリ1日目にソロ曲を歌いあげられなかった戸塚さんを励ましたかった。いつもいつも貰ってばかりだから、少しでも感謝を伝えられたらと声を出していた。

 

最高の友人である伝打伝助:ダーリン・ダーリンを殺めた戸塚さんは自分自身が脱皮するとともに、就活生になってしまった私に訴えかける。「お前は、そのままで良いのかよ」って。

 

戸塚さんに負けず劣らず自己肯定感が低い人間だから、まだまだ自分自身を自分ブランドとして売るのは痛いしこわい。だけど誰よりも信頼する人のそんな姿を見てしまったから、私も怪物と戦っていかないといけないんだと思う。

 

こんなのきれいごとでしかないし、意志が弱い人間の私はきっと明日には忘れてるけど、戸塚さんが戸塚さんをリスタートさせた日(正確に言うと2016年11月13日だけど)、私が自分をリスタートさせなきゃいけない日、こんな今日を踏まえてどうにかなっていきたい。諦めたらLoose 勝つまでは解かない FightingPose。

 

きっといつだって戸塚さんは戸塚さんとしてそこにいてくれるし、残り全部バケーション、生まれ変わった戸塚さんの大船に乗ったつもりで、今日ももう少し生きてみよう。寝る…!